医療行為と介助行為の境

ホームヘルパーの主な仕事内容は「身体介助」と「生活援助」です。
ホームヘルパーは医療専門職ではないので、いわゆる「医療行為」はできません。

この点、かつては体温測定や血圧測定をはじめ、目薬の点眼や座薬の挿入など、医療行為に「準じた」簡単な介助行為まで禁止されていました。
さらに爪切りや散髪など、日常生活には欠かせない行為まで「医療行為」とみなされ、著しく「身体介助」の範囲が制限されていたのです。

しかしこれでは拡大する介護ニーズには十分対応できないとの声が各方面から上がり、順次規制が緩和されてきました。
具体的にホームヘルパーにも認められたものとしては、主に次の介助行為があります。

まず水銀体温計や電子体温計による脇下の測定、あるいは耳式電子体温計による外耳道での測定です。
また血圧測定についても、自動血圧測定器であれば認められるようになりました。
さらに指先にはさんで、血液中の酸素飽和度を測定する「パルスオキシメータ」の使用も可能です。

次に要介護者の患部に対しては、軽微な擦り傷や切り傷あるいはヤケドなど、医療上の判断や技術を必要としない範囲であれば、軟膏の塗布やガーゼの交換等の簡単な処置ができます。
この他にも湿布の貼付けをはじめ、目薬の点眼や座薬の挿入、一包化された薬の内服、鼻腔粘膜へ直接作用させる薬剤の噴射介助なども、ホームヘルパーが「身体介助」として行うことが可能です。
ただし先述した、湿布の貼付け以下の一連の行為については、本人や家族から予め依頼のあることが前提であり、さらに医師や医療専門職の指導に従うことになっているので注意しましょう。